八十一と書いてククと読む例があります。
情(こころ)八十一[グク](四・七八九)
心が晴れないで
二八十一[ニクク]あらなくに(一一・二五四二)
憎くないのに
八十一里[ククリ]つつ(一三・三三三〇)
括っておいて
いずれも九九八十一でククです。
掛け算九九は古代中国で作られ、日本にも伝えられました。室町時代ころまで、現在のものとは順序が逆で、九九八十一から始まり、一一一で終わるものでした。(今でも九九と言うのは、昔は九九から始まったからです。)
他にも九九を用いたものがあります。
十六(三・二三九)
三例がありますが、集で初出のものだけを挙げました。以下同じ
四四十六によってシシ(狩りの対象となる猪や鹿)と読みます。かつてテレビのアニメ「ゼンダマン」に、ゼンダライオンという機関車が出てきて、そのプレートに「4416」と記してあり、それが出動する時には「胸に輝くプレートは、シシのジュウロク」という歌が流れました。万葉の伝統はこんなところまで続いていると言えるかもしれません。
いさ二五聞こせ(一一・二七一〇)
「二五」はトヲ。この一句は、さあどうだろうとおっしゃい、の意。
かく二二知らさむ(六・九〇七)
君は聞こし二々(一三・三三一八)
生けりともな重二(六・九四六)
第一のものは副助詞、第二は過去の助動詞、第三は形容詞の活用語尾ですが、いずれもシと読みます。二二が四によるものです。
三五月(二・一九六)
これはモチヅキ(望月)と読みます。三五十五で、十五夜は望月(満月)ということです。「望月」を「十五月」(一三・三三二四)と書いた例もあります。
十五夜を三五夜と書いた例は、中国にも、梁の元帝(508−554)の詩に「高楼三五夜」とあるなど、かなり古くからありますから、それを取り入れたと見られます。
次の歌の場合は戯書とは扱われていませんが、
言云者三々二田八酢四小九毛心中二我念羽奈九二
(一一・二五八一)
言(こと)に言へば耳にたやすし少なくも心の内に我が思はなくに
では、いくつも数字を並べて書いています。表記する時に、戯れの気持ちがあったのでしょう。