はじめに

松井簡治と『大日本国語辞典』
 /編纂の動機
「辞書の家」松井栄一氏
  ロングインタビュー

辞書とともに歩む松井家三代の足跡

『日本国語大辞典』(小学館)の編纂に深くかかわる著者が、祖父・簡治、父・驥から受け継いできた辞書作りの仕事をふりかえりつつ、辞典編集の方法や課題などを平明な文体でつづる。
本書は、辞書を作る悦びに満ちた松井家三代の足跡を、逸話を交えながらエッセイ風に描いた待望の書。

本書の内容

松井簡治博士が『大日本国語辞典』の編纂を決意し、用例の資料を採集し始めたのは明治25年(1892)で、ちょうど大槻文彦著『言海』が完成した翌年にあたる。イギリスでは『オックスフォード英語大辞典』(OED)も刊行され始めており、日本にも用例を中心とした本格的な国語辞典が必要と考えたようだ。
『大日本国語辞典』(全4巻・冨山房)は大正4〜8年(1915-19)に発刊されたあとも増補訂正作業は続けられ、父・驥がその作業を引き継いだ。戦後、8万枚におよぶ増訂カードは、小学館に引き取られ、著者自身が辞典編集に深くかかわる契機となった。そこから『日本国語大辞典』の初版〔昭和47〜51年(1972-76)〕が生まれ、第2版〔平成12〜13年(2000-01)〕が完結するにいたる経緯を克明に描いて、100年を超える辞典編纂の成長した部分や残された課題などについても具体的に述べる。

目次

はじめに

松井簡治と『大日本国語辞典』
編纂の動機/古典籍の収集/一日三十三語二十年/辞書の索引と蔵書の移管/修訂版の刊行とその後/増補訂正カード/松井簡治の談話筆記 (古書蒐集/往来物について/索 引/外国語学校の創立)

松井簡治の日常こぼれ話
自転車に乗る/新し物好き/サンルームと簡治式体操/書斎と手焙り/生きている人が大事/吉見謹三郎の協力/旅のエピソード/大所帯の穏やかな生活

『日本国語大辞典』(初版)の内側
『大日本国語辞典』との出会い/小学館からの誘い/準備委員会の発足/基礎作業/用例のカード化と資料台紙/項目一覧表と立項の試行錯誤/立項作業/原稿執筆と用例の補充/出典検討と原稿調整/日本大辞典刊行会/全二十巻完結とその後/総項目数約四十五万

『日本国語大辞典』(第二版)をめぐって
改訂増補に備える/山梨大学へ/四年半で得られたもの/改訂準備委員会と第二版編集委員会/明治時代語の調査/改訂作業/終わりのない用例採集/見出しの配列/大きい辞書とは

国語辞典の用例について
実例を添えることの意味/初版の用例と第二版の補充資料/さまざまな用例採集法/第二版で用例を添えた項目/用例の年代表示/底本の変更/用例採集の実際/典拠を具体的に示す

用例資料にまつわる話
古書展に足を運ぶ/小説類の原本を集める/明治初期の漢語辞書/文法用語の用例/『和英語林集成』収録語を手がかりに/古書収集の穴にはまる/辞書編纂と本の収集

松井驥の歩んだ道をたどる
早すぎた死/父の履歴書/さまざまな職をわたり歩く/俳句をたしなむ/「奥の細道」の研究/旅を楽しむ/父と家族/遺 稿 (新春小言)

ピンチヒッター人生

付録『近代国語辞書の歩み−余説第二章』について
◆ことば索引◆書名等索引◆人名索引

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